飲食店の未来を担うポジション「若手・中堅」について
飲食業界はコロナ禍で大きなダメージを受け、なかには営業を続けて行くのが難しい状況に追い込まれているお店も少なくありません。
しかし、コロナ禍のずっと前から飲食業界を悩ませている問題があります。
そのひとつが人材不足です。
以前のような社会に戻ってフル営業できたとしても、この問題を解決できなければ苦しい営業を強いられるのは避けられません。
そこで、飲食店の未来を担う若手・中堅の存在について、必要なスキルや求められるスキル、人材育成の考え方と方法について紹介します。
若手スタッフについて
飲食店における若手スタッフとは、一般的に18~20歳台前半が当てはまります。
この世代は学生気分が抜けていない人が多く、仕事に対して「やらされている感」が強い人も多いのではないでしょうか。
また、ワークライフバランスを重視する人も多い傾向で、なかには仕事よりもプライベートを重視する人も。
一方で、自己成長欲が強く、仕事の意義や意味を気にするタイプもいるなど、仕事に対する考え方や取り組み方はさまざまです。
いずれにしても、未来の飲食店にとって欠かせない存在となるべく、がむしゃらに仕事に取組み、飲食業界について理解を深めつつ、料理や接客のスキルを高めていくのが若手スタッフの位置付けと言えるでしょう。
若手スタッフが身につけるべきスキルはさまざまありますが、まずは手際の良さはなくてはならないものです。
飲食業界では「1ステップ2アクションが大事」といわれています。
たとえば、商品を提供する際に空いたグラスやお皿があれば提供時に片付けたり、追加注文を伺ったりするといった動作は、業務効率化と売上向上に影響を与えます。
調理スタッフの場合、伝票を見て一つひとつ作るよりも、同じ料理が複数あれば一緒に作るといった手際の良さがあればスピーディーな商品提供が可能です。
そして、優先順位をつけた行動も重要なスキルです。
飲食店を運営していくなかで、商品提供・オーダー・新規来店・会計がバッティングするタイミングは意外と多いですよね。
お店によって考え方は異なるかもしれませんが、基本的には「店内にいるお客様の満足度を高める」ことが重要なので、商品提供 → オーダー → 会計 → 新規来店の順になります。
とはいえ、お店を訪れたお客様は無視できないので「ただいまご案内しますので少々お待ちくださいませ」と伝える気配りも大切です。
また、IT化によってロボットを導入する飲食店も増えている一方で、やはりお客さまとのコミュニケーションは大切ですね。
単に料理やドリンクを提供すればいいのではなく、その場の雰囲気も楽しんでもらうことでお客様の満足度が高まります。
長い時間接客することはないとしても、親しみやすい接客ができるスタッフはお店全体の雰囲気を高めてくれる重要な存在です。
中堅スタッフについて
飲食店における中堅スタッフは、業態にもよりますが業務経験が3年〜8年以上のイメージですね。
中堅スタッフは若手時代の困難を乗り越えた、いわば「意識高い系」のスタッフに成長しているので、どのようにしたらお店がスムーズに回るのかなども把握できています。
料理長や店長、またはそれ以上の役職を目指すスタッフが出てくるのも中堅スタッフの特徴で、なかには独立意欲が高まっている人もいます。
ただ、若手スタッフに対して業務の基本を落とし込みつつ、店舗運営や経営について学ばなければならないなど、業務が煩雑になりがちなためストレスを抱える人も少なくありません。
中堅スタッフに必要なスキルは、若手スタッフ時代に培ったスキルを高めることに加え、より深い洞察力です。
特に気配りや先読みするスキルも重要です。
たとえば、お客様がキョロキョロしているときはトイレを探しているときや、商品の提供に時間がかかっているとき、スタッフに何か聞きたいときなどのケースが考えられます。
そのような仕草を見逃さずに積極的に声がけできる気配りや先読みできるスキルは、飲食店スタッフになくてはならないものですよね。
また、お客様の来店時に席まで案内する際は、満席になった場合を想定して無駄のない席配置をすることも大切です。
たとえば、2名様を4名様用の席に案内するのはチャンスロスにつながるため、先を見据えた行動が求められます。
加えて、中堅スタッフには臨機応変な対応ができるスキルも必要です。
お酒を提供するお店では些細なことでトラブルが発生するケースがありますが、そのような場面での対応は若手スタッフには難しく、中堅スタッフが率先してお手本を見せなければなりません。
お店のルールを崩してまでお客様の言いなりになるのはおすすめできませんが、ある程度はマニュアルから外れても場を丸く収められるスキルは、中堅スタッフなら身につけておきたいところです。
そして、コストに関する知識も強みになります。
商品ごとの原価計算ができるようになれば、原価の安い商品を積極的に売り込んで利益率を高めることもできるでしょう。
メニュー開発に携わる中堅スタッフなら、原価を知る以外に使用する食材や調理方法の知識も身につくので、お客様に対して詳しい商品説明ができるようになります。
どうして若手・中堅が育たないのか?
若手や中堅スタッフの存在は、お店の未来を担う存在だと認識していても、思うようには育たないのが現状…という飲食店や企業が多いかと思います。
人材育成については飲食業にかかわらず、どの業界でも同じような悩みを抱えていますが、飲食業界で人材が育たない大きな理由のひとつは離職率の高さが挙げられます。
厚生労働省が平成30年度に行った産業別の離職状況の調査では、宿泊業・飲食サービス等の離職率が26.9%で、全産業平均の14.6%に比べて1.8倍です。
なぜ離職率が高いのかは後述しますが、このような現状から育てたくても育てられないというのが実際のところでしょう。
自分のお店の離職率は低いのに育たないという場合、いくつかの理由が考えられます。
まず、人材育成に時間をかけていないケースです。
人材を育てるには相応の時間をかけて教育する必要があり、一つひとつの業務に対してサポートをしなければなりません。
しかし、慢性的な人材不足に陥っている飲食店ほど手取り足取りのサポートをするのは難しく、中途半端な人材教育になりがち。
その結果、期待するような人材に育たないのです。
また、指導者のスキルが低いことも人材が育たない原因のひとつですね。
教育担当者の知識があやふやだと教えられる側の知識も深まらず、スキルも低いままになってしまいます。
一方で、若手スタッフが育たない飲食店でよくあるのが、人材採用の段階でミスマッチが生じている場合です。
たとえば、入社前に聞いていた社風や待遇と実情が異なっていると、従業員のモチベーションが低いまま働くことになり、成長しにくくなるケースもあります。
では、従業員を育てるためにはどうしたら良いのでしょうか…?
人材育成のために研修を開催するところも多いですが、まずやるべきことは人材育成をするための時間の確保です。
人材育成ができない飲食店の多くは時間がないことが原因になっているので、時間を確保することが人材育成のスタートラインと言えます。
時間があれば研修も開けるはずですし、従業員一人ひとりに細かい指導もできるはずです。
また、人材育成の目標を明確にすることや、評価制度の導入なども人材育成につながりやすいでしょう。
若手も中堅も、正しく評価されることでモチベーションが向上し、さらに前向きな気持ちで業務に臨んでくれることが期待できます。
若手・中堅は飲食店・企業に何を求めるか?
時代が変われば人の考え方も変わるもの。
現代の若手・中堅の多くはワークライフバランスを重視している人が多い傾向が見られます。
企業側もワークライフバランスに重点を置いて積極的に労働環境を見直している業界が多いなかで、飲食業界は改革が遅れがちです。
特に、中小の飲食企業では現状でも薄利多売なのに、労働環境を改善することなどできるわけがないという考えもあるかもしれません。
しかし、それでは従業員との溝は深まってしまうでしょう。
そもそも、飲食業界はサービス残業が当たり前・上司の言うことは絶対・休みが少ない・給料が低いなどの理由から離職率の高い業界として知られています。
このような状態を放置して改善できなければ、若手や中堅はいずれ退職してしまう可能性が高いです。
そこで、以下に挙げる若手・中堅のスタッフが経営層に改善してほしい点を重視して取り組むことをおすすめします。
労働時間を改善してほしい
飲食店で働く従業員の労働時間は長くなりがちですが、これを致し方ないと考えるのではなく、労働時間は積極的に見直すべき項目です。
仕込みや後片付けなどの営業時間外の業務が多すぎて労働時間が長めになっている場合、業務効率化やアルバイト・パートスタッフの補充で改善できる可能性があります。
労働時間を短縮出来ない場合は定休日を設けることも検討しなければなりません。
優秀なスタッフが離職しないためにも、労働時間を見直して従業員満足度につなげるべきでしょう。
労働環境を改善してほしい
若手・中堅スタッフが経営層に求めるワークライフバランスを実現するためには、仕事とプライベートのバランスを考えることが大切です。
2017年8月には飲食企業の約40%が月8日の休みを取得できるようになったようですが、他業種に比べて高い数字とは言えません。
また、労働環境改善のためにはIT化も大きな効果を期待できます。
ITツールの導入によって従業員の業務負担を軽減できるため業務効率化が実現できるうえに、コスト削減や売上アップも可能です。
福利厚生を充実してほしい
飲食業界が福利厚生に力をいれていないというのは過去の話で、大手飲食チェーンを中心に充実した福利厚生制度を取り入れて従業員満足度の向上を図っています。
たとえば、退職金制度を新設したり、住宅補助や子ども手当などを支給したりするところも出てきました。
なかには、自社の店舗を利用できる無料券を配布しているチェーン店もあります。
お客様として自分のお店を見ることができるので、商品やサービスの改善につながるというメリットもある仕組みです。
まだ福利厚生面を充実させる余地があるなら、若手・中堅スタッフがライバル他社に転職する前に、積極的に取り組みましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は飲食業界の未来を担うポジション「若手・中堅」についてお話ししました。
実際に飲食店で働いている、そこのアナタ!
この記事を読んでみて、納得するところもあったのではないでしょうか?
そして、経営者の方や人事採用活動を行っている、そこのアナタ!
この記事を読んでみて、どれだけ人材の確保・育成面の強化・労働環境の改善がいかに大事かが少しでも伝わっていると幸いです…。
昨今、料理を作るロボットや、接客対応は全てタッチパネルで…なんて、飲食店はどんどんハイテク化しています。
しかしながら、その中でも「人」だからこそ出来ることや可能性があると筆者は思っております。
だからこそ、今経営している飲食店の未来を繋げるため、生き残るためには「若手・中堅」のスタッフをしっかり育てなければいけないと思えます。
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著者プロフィール
小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。
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