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炎上事件が続いて破産!?ステーキけん・ふらんす亭を経営していたエムグラントフードサービスについて調べてみた

飲食店は常に競争が激しく、カリスマといわれる経営者がいるからといって安泰とは言えません。

今回紹介するエムグラントフードサービスもそのひとつです。
エムグラントフードサービスとは、攻撃的なSNSと独特の出店方法で話題になり、メディアにも多く取り上げられた井戸実氏が設立した会社です。
好調だった業績が、突如として急激に落ち込み、破産にまで追い込まれた裏には何があったのでしょうか。

前回お話ししました、失敗から学ぶシリーズでの「いきなり!ステーキ」の記事が好評をいただきましたので、ステーキ業態つながりということで今回はエムグラントフードサービスについてお話ししていきます。

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エムグラントフードサービスについて

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株式会社エムグラントフードサービスは、2006年に設立した企業で、主力業態となった「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」のほか「ふらんす亭」「相席屋」、イタリア料理店の「ヴォーノ・イタリア」など繁盛店を次々と作り上げました。

なかでも、開業当初から波に乗った「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」は、ピークとなった2012年には238店舗にもなり、約225億9,600万円の売上を計上するブランドに成長しています。

エムグラントフードサービスの出店場所は、主に幹線道路など通行量の多い道路沿いにある潰れたファミレスや焼肉屋などの飲食店がターゲット。
開店費用を安く済ませられる居抜きで借りてステーキ屋に転身させていくというものでした。

いわゆるロードサイド店舗は、アクセスの良さが特徴ですよね。
平日はサラリーマン、夜間はトラック運転手、週末は家族連れなど、さまざまな層が利用しやすいのがメリットです。
郊外の主要道路沿いにあることが多いので、街中の店舗に比べて家賃が安いのも魅力でしょう。

順調のように思われたエムグラントフードサービスですが、同業他社の出店が続き競争が激しくなるとともに、主力のフランチャイジーだった会社の離脱や破産などが相次ぐ事態に。
2018年3月期にはピーク時の10分の1となる24億3,000万円にまで売上が減少しました。

経営の悪化に伴い、2019年7月には事業規模を縮小したものの、2020年2月に事業停止、翌3月には破産手続き開始決定を受けました。
そして、2021年3月に法人格が消滅しています。

2012年のピークから約9年でのスピード破産は、なかなかの衝撃ですね。
どんな繁盛店でも、一寸先は闇ということなのかもしれません…。


代表者、井戸実氏について

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エムグラントフードサービスの経営者だった井戸実氏は、その開店手法や、時には従業員までも引き抜くという積極すぎる経営姿勢から「ロードサイドのハイエナ」とも呼ばれていました。
メディアの露出度が高く、度々テレビ番組にも出演していたので知っている人も多いのではないでしょうか。

歯に衣着せぬ物言いで注目を集め、報道番組からバラエティ番組までジャンルを超えて出演し、本業の飲食店も相乗効果を得て順調に売上を伸ばしました。
一方で、過激な発言が多かったため、批判的な見方をしている人も少なくなかったようですね。

井戸氏は、元々は寿司職人になるために「築地すし好」に入社しましたが、やがて経営者になることを計画し、転職を重ねながら経営に関するノウハウを学んでいきます。
店舗開発や事業開発、業務委託店舗の営業開発などを経験できたのは、彼にとって大きな強みになったことでしょう。

そして、26歳のときに東京に居酒屋を開業し、その2年後には「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」の開業へとこぎつけました。
井戸氏の人間性は、ネット上の評判を見る限り決して良いとは言えないものの、エムグラントフードサービス設立3年で7業態、35店舗も経営していることから、経営者の手腕としては確かなものがあったのでしょう。


どうして破産にまで至ってしまったのか考察してみた


前述の通り、井戸実氏はやり手の社長が経営していたのにもかかわらず、なぜエムグラントフードサービスは倒産してしまったのでしょうか。

ここではどうして破産に至ってしまったかについて、様々な事件を踏まえて考えていきたいと思います。


社長の過激な発言でたびたび炎上

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先に紹介したように、社長の井戸氏はハッキリとしたものの言い方で人気になりましたが、そのトークが行き過ぎてしまい、嫌悪感を抱く人も少なくありませんでした。
その一例は以下の通りです。

「なぜ低所得の人に現金を配るのだろう」
「お金に困るなら家なんて買わなきゃ良いのに」
「ニートは道を歩くな」
「職業選択の自由があるんだから、嫌ならやめればいいだけ」
「アレルギー?知らねーよそんなもん。何食ってもビクともしない体を作れや!」

信じられないかもしれませんが、全ていち企業の社長が発した言葉です。
さらに、ブラック企業が問題になったときには「長時間労働が嫌なら働かなければいい」とまで口にしました。
もはや会社を背負っている社長の発言とは思えないですよね。恐ろしい…。

さらにさらに、商品が生焼けだったとクレームを入れてきた女性客がいたことを社長がわざわざ自身のTwitterで報告。
そのうえで井戸氏は
「スタッフは100%悪いことをしてない」
「この手のクレーム客は来ないでいただきたい」
と、言い放っています。

さすがに言っていいことと悪いことがあると思うのですが、井戸氏は普段から商品への指摘に対して「肉が硬いなら顎を鍛えてください」「まずいというクレームは無視する」などと答えていたこともあり、味や焼き方への指摘を無視したとみなされ大炎上したのです。


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挙句の果てには労働基準法にも文句を言い出します。
「倒れるのはそいつが悪いだけ。自己管理の問題だ。利益を出すにはそれしかない。僕の立場で言っていいかわからないが、そもそも労働基準法がおかしい。なぜ週40時間以上の労働が残業になるのか。そんな環境にあるのは公務員だけだ。労働関係の法規制は、いろんな働き方や仕事がある現在の状況に合ってない」

このような発言を続けた井戸氏ですが、1点だけ擁護するならば、辛辣なコメントの数々は彼のキャラクターによるものだということです。

テレビに出演して歯に衣着せぬ物言いで人気になったこともあり、キャラを守るための発言だったとも言えます。
実際、井戸氏はTwitter上で「炎上商法で稼いでいます」と堂々と話しているくらいですから、意識的に嫌悪感を抱かせる発言をしていたのでしょう。

もちろん、行き過ぎた発言ですし、経営者としてのモラルのなさが際立っていますが、こんな社長の下で働いていた従業員の方が気の毒ですね…。


食中毒が出た時の対応がひどい

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このような発言が繰り返されるなかで、2011年10月に事件が起きます。

ステーキけんで牛ステーキを食べた4人が下痢や腹痛の症状を訴え、そのうちの3人からO-157が検出されたのです。
保健所の検査の結果、ハラミカットステーキの調理過程に原因がある可能性が高いとされ、3日間の営業停止となりました。

しかし、問題はこの後です。

いつもはTwitterで盛んにつぶやき続けている社長だけに、積極的に発信するのかと思いきや、なんとダンマリをキメ込んでしまいました。
しかも、店舗には休業の理由をどういうわけか「メンテナンスによるもの」という張り紙を出したのです。

普通の社長なら絶対にしないであろう対応ですよね…。


専務が焼いたステーキ事件

pixta_75071959_M.jpg こちらも飲食店に携わる者としては考えがたい事件です。

2012年の3月頃、ステーキけんの専務が調理服ではなくスーツのまま、しかも調理帽を被らずに肉を調理。
さらに、焼いたステーキを調理台に直に置いた姿がネット上にアップされ、見事に炎上しています。

飲食店のアルバイトがキッチンでふざけた写真や動画をSNSにアップして問題になるのは度々ニュースなどで取り上げられていますが、いち企業の専務がこのようなことをしているのは大きな問題です。

企業の経営層がこのような行為をしているのであれば、一般社員も同様だとみなされてしまいそうですね。


特段うちのお肉って別に美味しいものじゃない事件

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井戸氏の場合、どのような意図があって口にしているのか理解が難しい発言も多々あります。
そのひとつが、経営が下り坂に差し掛かったタイミングで「特段ね、うちのお肉って別に美味しいものじゃなくて…」と言い放った事件です。

この言葉の裏には、ライバル店に価格競争で負けたからもう安くない、特に味も美味しくない、うちの店は郊外ばかりで近くない、だからそんなステーキ屋なんて誰も行かない、という負け惜しみがあるようにも思えます。

ライバル店が続々と参入してきて店舗数を減らしてきたタイミングでの発言だったとはいえ、企業のトップがこのような発言をすると、周囲への影響もものすごく大きいのではないでしょうか。
特に、従業員のモチベーションは大きく低下したはずです。


ライバル店の台頭

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全盛期には「同世代の外食の経営者で見れば俺がぶっちぎりだ。これが何年維持できるかということだが、ライバルも出てこない。この10年なら独走だ。僕を抜く経営者がいるかどうか、それが今後外食産業見ていく中で面白いところだ」と話していた井戸氏。

ところが、2013年には230店舗あった店舗が、2016年には98店舗になり、2017年には67店舗、2018年には48店舗と急速にお店の数を減らしていきます。
もはやブーメランです…。

店舗数減少の裏で大きく店舗数を伸ばしていたのが「いきなりステーキ」をはじめとしたライバル店たち。
今までライバルがいない環境での一人舞台だったのに、ステーキガストやビックボーイ、さらにとんかつチェーンでも同じようなセットメニューを提供するライバル店がどんどん増えてきました。
特にすかいらーくやロイヤルホストなど資本力が大きな会社の参入により、ステーキけんはどんどん追い詰められる結果に。

それでも、井戸氏はTwitter上で「うるせーよ。じゃあガスト行けよ」などの発言を連発しました。
結局は溢れかえったステーキチェーン同士の価格競争や差別化なとの戦いに勝てなくなってしまい、店舗数の縮小から廃業に追い込まれていきます。


FC店が増えすぎたのが原因で質がどんどん下がった

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飲食業界のみならず、店舗数が増えすぎてしまうと商品やサービスの質が下がってしまうというのはよくある話ですよね。

エムグラントフードサービスも多分に漏れず、200店舗を超えるお店の管理が行き届かなかったことも衰退の理由のひとつだと考えられます。
特にステーキけんは、多くがフランチャイズ店として拡大していたため、管理しきれなかったのが失敗だと見られているようです。

たとえば、ステーキけんではアイスクリームバイキングに高級アイスを用意していましたが、フランチャイズの1店舗が高級アイスを止めて業務スーパーで売られている安いアイスを並べるようになったという事件があります。
ちなみに、こちらの店舗ではアイスのランクを下げても売上に影響はなかったとのこと。

これが影響したのか、ほかのフランチャイズ店でもサラダバーのランクやステーキに使用する肉のランクを下げ始め、評判が悪くなる原因になりました。
品質の統制が取れないチェーン店は、お店の数が多いほど評判が悪くなるのも早いものです。

お客様にとっては、直営店だとかフランチャイズ店だとかは全く関係のない話ですよね。
商品の質が下がったという話が巷に広まれば、当然お客様の数は減り、売り上げは低下の一途をたどります。

そして、また商品の質を下げるという負のスパイラルが生じるのです。
結局は、お客様をないがしろにするような発言を連発していた井戸氏だからこそ、超巨大なブーメランが突き刺さったということなのかもしれません。


まとめ

いかがでしたか?
読んでいる方からすれば、「潰れて当然だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね…。

しかしながら、井戸氏の戦略や出店の考え方に関しては素晴らしいところもあるのは事実です。
ただ、そこで飲食店経営で忘れてはいけないことのひとつである、お客様を大切にしなかったこと、そしてメディアやネット、SNSの使い方に難があったことが全ての原因といえるでしょう。

たらればになるかもしれませんが、もう少しここを井戸氏が考えていれば未来は変わっていたかもしれませんね…。

いきなり!ステーキの記事でもお話ししたかもしれませんが、自分本位の経営でお客様に目を向けていないと、顧客ニーズを把握したうえでお客様満足度を高める施策をおこなわないと、エムグラントサービスのような悲しい未来が待っているかもしれません…。
飲食店の経営は本当に大変なんだなと、改めて感じました。

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小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。

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