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飲食店・企業がこぞって「チキン」戦略をおこなっている理由

いま飲食店・企業が熱い視線を注ぐ食材といえば、なんといっても「チキン」でしょう。

フライドチキンを気軽に食べられる店というと、ケンタッキー・フライドチキンかコンビニというイメージですよね。
ですが2021年に入り、大手企業がチキン専門店を展開する動きが目立っているんです。

2021年は「チキン戦争」の火蓋が本格的に落とされた年となりそうですよ!

どうしていま、これほどまでにチキンが注目されているのでしょうか?
この記事では、飲食店・企業が新展開するチキン業態の特徴、戦略についてわかりやすく説明します。

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元々のチキン戦争はコンビニから始まった

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「チキンといえば?」と尋ねられたら、多くの人が「ケンタッキー」と答えるのではないでしょうか。
それくらい、ケンタッキー・フライドチキンは日本人におなじみのチキン専門店ですよね。

ケンタッキーのチキンがはじめて日本でお披露目されたのは1970年。
日本万国博覧会のアメリカ館にフライドチキン販売の実験店舗を出店し、大成功を収めたのが始まりでした。

ケンタッキーは同年の11月、名古屋に一号店を出店し、そこから何十年も日本のチキン市場の「一強」であり続けてきました。

モスバーガーなどのファストフード店でもフライドチキンを扱うことはありましたが、あくまでバーガーの添え物。
チキンに注目する企業は少なかったんです。
ケンタッキー一強のまま、戦争とは縁のない平和な市場が続いていたんですね。

ところが、ついにその市場に参入する企業が現れます。
2001年、ファミリーマートが骨付きフライドチキン「フラチキ」を掲げて攻め込んできたのです。

実は、ファミリーマートは2000年から沖縄でフライドチキン販売を開始していました。

沖縄のファミリーマートは「株式会社沖縄ファミリーマート」が展開しているのですが、設立当初、本土と同じ品揃えでは商品が売れないという問題を抱えていたんです。

そこで「地元の需要をもっと考えよう」をコンセプトにスパムを使ったおにぎりやフライドチキンを販売。これが大ヒットしました。

沖縄県は、一人あたりのケンタッキー・フライドチキン消費量一位の県。
フライドチキンが非常に日常的な食べ物だったため、コンビニチキンも大ヒットしたんですね。

この人気を受け、2001年にフラチキは全国販売されることになります。


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ですが、フラチキには骨があるため「食べにくい」と思う人も多くいました。
そこでファミリーマートは2006年、鶏もも肉を使った骨なしフライドチキンを販売します。
大人気商品「ファミチキ」の誕生です。

ファミチキの人気を追うように、2007年にはセブンイレブンがフライドチキンの販売を開始します。

数年後にはフライドチキンを和風味の「揚げ鶏」に変更したり、新フライドチキン「ななチキ」を販売したりなど試行錯誤はありましたが、どちらも現在まで安定した人気を獲得しています。

2009年にはついにローソンが「Lチキ」を販売し、一年で8,000万個売れる大人気商品になりました。
これはローソンのロングセラーチキン「からあげクン」に並ぶ勢いの成長です。

こうして2000年代は、四つどもえの「フライドチキン戦争」勃発の年代となったのです。


コンビニチキン、それぞれの味の特徴は?

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ひと口にコンビニチキンといっても、それぞれ違ったおいしさがありますよね。
ファミチキはクリスピーでスパイシーな衣とたっぷりの肉汁がたまりません。

セブンイレブンの揚げ鶏は、フライドチキンというより唐揚げのような薄衣が特徴で、親しみやすい和風の味付けです。
ななチキは11種のスパイスを使用しており、小ぶりながら厚みがあってジューシー。脂は多すぎず比較的さっぱりしています。

ローソンのLチキは衣に米粉を使っており、油を吸いすぎない軽い食感が特徴です。
ギュッと身の詰まった食べ応えも嬉しいですね。

また、味のバリエーションも豊かです。
黒胡椒の効いた旨塩味の「レギュラー」や旨辛味の「レッド」、ピザソースとチーズを加えた「トマチー」など、毎日食べても飽きません。

こういった、おいしく気軽に購入できるコンビニチキンの参入によって、チキンといえばケンタッキー、というイメージは揺らいでいったのです。


ケンタッキー一強から変わっていく!?大手飲食企業が参入しているワケ

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ケンタッキーの牙城に攻め込んでいるのはコンビニだけではありません。
2021年には「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングスが、バターミルクフライドチキン専門店「Lucky Rocky Chicken(ラッキーロッキーチキン)」をオープンしました。

バターミルクフライドチキンとは、インパクトがあるコピーですよね。
Lucky Rocky Chickenのフライドチキンは、鶏むね肉をバターミルク液に一晩漬け込んで作るのが特徴です。

また同年には、鳥貴族ホールディングスの「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」オープンも話題になりました。
グランドオープン日には、朝から大井町の路上に長蛇の列ができたそうです。

詳しくはあとで述べますが、「焼肉の和民」などを運営するワタミグループや、「焼肉ライク」などを運営するダイニングイノベーションもチキン市場に参入しています。


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大手企業が続々とファストフードチキン市場に参入する理由は、市場が拡大傾向であり、かつ未成熟だからです。

「持ち帰って食べられる」「早く食べられる」ファストフードはコロナ禍の影響を受けにくく、市場は拡大を続けています。
コンビニのフライドチキンは一般化しましたが、チキン専門店はまだまだ少なく、参入の余地も大きくあります。

また、鶏肉をタブーとする宗教が少ないため、グローバルな客層の取り込みや海外展開を視野に入れられることも理由です。

さらに、鶏は飼料効率がよく生育が早いため原価が牛肉や豚肉より安くなる点も魅力。
コストの削減は新規参入リスクの軽減にもつながります。

こういった理由で大手企業がチキンに注目したことから、いま、飲食業界では空前のチキンブームが起こりつつあるのです。


ダイニングイノベーションが提案するチキンバーガー業態「DooWop」

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新オープンのチキン専門店のなかで、特に注目を浴びているのが代官山に一号店を構える「DooWop(ドゥーワップ)」です。
同店は、ダイニングイノベーショングループの株式会社すみれが運営しています。

ダイニングイノベーション創業者、西山知義氏は「牛角」や「居酒屋土間土間」を展開するレインズインターナショナルの創業者でもあります。
今までにないコンセプトの飲食店を生み出し、成功に導く手腕は確かなものです。

DooWopは「ファストフードにDXを取り入れる」をコンセプトに、DX業態のファストフード店としてオープンしました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、テクノロジーを取り入れてより良い変革を起こすことです。

DooWopでは、アプリによるモバイルオーダーや、クレジット・各種IC・現金に対応するセルフレジなど、注文オペレーションがデジタル化されています。
これによりスタッフの負担を軽減し、かつ、削減したコストを消費者に還元することが可能です。

DooWopのフライドチキンは、ケンタッキーを思わせるしっとりタイプの衣と食欲をそそるパンチの効いたスパイスが特徴。
肉厚で食べ応えのある「チックシールド」と食べやすい形状の「チックスティック」、二種類のなかから選べます。


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筆者はチックシールドを食べましたが、繊細なスパイス使いとジューシーな食感が印象的でした。
太い骨一本なので食べやすく、ゴミが少ない点も好感度が高いです。

主力商品のチキンバーガーは、もも肉のフライドチキンをサンドしたバーガー。
100gのもも肉を使うのでけっこうボリュームがあります。

プレーンタイプのバーガーは、パセリ入りのマヨソースやふんわりしたバンズ、ジューシーなチキンの相性が抜群!
BBQエッグソースやテリヤキTARUTARUソースなど、バーガーの種類も豊富です。


韓流ブームが後押しした?ワタミの「bb.qオリーブチキンカフェ」

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日本で流行した韓国料理「チーズタッカルビ」や「ヤンニョムチキン」は、どちらもチキンを使った料理です。
実は、韓国はチキン文化が非常に発達しているんですね。
「bb.qオリーブチキンカフェ」はそんな韓国から日本にやってきた、本場の味を楽しめるチキン専門店です。

同店は韓国ドラマ「愛の不時着」に登場したことでも話題になりました。
コロナ禍によりおこもり需要が増えるなか、韓国ドラマの人気が高まったこともこの店の話題性を後押ししています。

こちらもDooWopと同様、注文にはモバイルオーダーやセルフレジを採用し、スタッフと利用客の接触を最低限におさえています。

人気商品の「オリーブチキン」はガリガリとクリスピーな衣、じっくり揚げた肉の柔らかさが特徴。
スパイスはオリエンタル感がありつつも強すぎず、後から辛みがほんのりやってきます。確かに、日本ではなかなか味わえないタイプのフライドチキンです。

「ヤンニョムチキン」は、甘みと辛みの強いコッテリタレに、八角のような清涼感のある味わいが印象的でした。

「オリーブチキンバーガー」は脂の少ない部位を使ったチキンとトマト、レタスを挟んだバーガーです。
さっぱりした味わいのチキンと、濃厚なマスタードソースの相性は抜群ですよ。

日本で同店を運営するのは、「焼肉和民」を始め数多くの飲食チェーンを展開するワタミグループです。
日本でのチェーン展開を知り尽くした企業ですから、これもbb.qオリーブチキンカフェの強みといえるでしょう。


レッドオーシャンの中で、一過性のブームにならないか…?

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少し話が逸れますが、2020年頃から唐揚げの路面店が一気に増えた現象に気づいていますか?
タピオカ屋の跡地は全部唐揚げ屋になっているのでは…とすら思える増殖度合いです。

ワタミグループも、前述した「bb.qオリーブチキンカフェ」と唐揚げチェーン店「から揚げの天才」両方を運営しています。

しかし、この唐揚げブームも2021年現在、すでに下火を迎えつつあります。
日本はトレンドフードのブームが去るのが本当に早いですね!

タピオカ業態のように、チキン業態も激しい市場競争「レッドオーシャン」に呑まれて消えてしまうのでしょうか。

レッドオーシャンを生き残るポイントは
差別化
コスト削減
の二つです。

「他の店とは違う!」と思わせるオリジナリティがあれば、チキンブームが去ってもリピート率をキープできます。

また、ムダなコストを削減すれば、品質向上やプロモーションにコストをかけられ、客離れを防げるでしょう。

前述したLucky Rocky Chickenは、バターミルクフライドチキン専門店という、興味をそそるキャッチーなコピーで差別化を図っています。
またTORIKI BURGERは国産食材を使う、セット価格を抑えるなどの差別化につとめています。

DooWopは、DX化を進めてコスト削減に成功していることを述べました。
bb.qオリーブチキンカフェは独特の食感、韓国風の味付けでオリジナリティを確保しているといえます。

トレンドフードは大きなビジネスチャンスです。
しかし、レッドオーシャンに挑戦する飲食店・企業は、需要の高まりとブームの終焉の間でジレンマに陥っています。

チキン市場に参入した各企業がどのように市場競争を乗り越えていくか、今後もその経営戦略に注目していきたいですね。


まとめ

いかがでしたか?

今回は飲食トレンドでも盛り上がっている「チキン」戦略についてお話ししてきました。

元々はケンタッキー一強時代から、コンビニチキン戦争が始まり、そこから大手企業が参入していく…。
この流れですが、今後も新しい企業が参入する可能性もあり、ますますレッドオーシャン化が進むのは火を見るよりも明らかです。

しかし、あくまでブームで終わることなく定着・定番化できるかどうか。
これが最終的に生き残るための答えなのかもしれないですね。

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著者プロフィール
小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。

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