居酒屋なのに禁煙!?もはやファミレス酒場?!-串カツ田中がやってきた画期的な施策について調べてみた-
およそ80年以上前に誕生したといわれている串カツ。
大阪の伝統的なB級グルメですが、東京で有名な串カツ屋といえば「串カツ田中」を思い浮かべる人が多いでしょう。
関東圏を中心にした積極的な出店を続け、コロナ禍のなかでも店舗数を増やしていますが、注目すべきは斬新な取り組みや施策。
この記事では、串カツ田中の概要を解説するとともに、串カツ田中がおこなってきた画期的な施策を紹介します。
串カツ田中について
関東圏を中心に北は北海道、南は沖縄、そしてハワイにも直営店舗とフランチャイズ店舗を展開する串カツ田中。
店内は大衆居酒屋のような雰囲気があり、野菜の串揚げか98円~、串カツが147円~、定番の5本盛り合わせが720円~など、低価格帯のメニュー構成が特徴のお店です。
いわゆる激安居酒屋の部類ですね。
第一号店は、東京の世田谷区にある住宅街の一角で、2008年にオープンしました。
そこからわずか8年で東証マザーズに上場したというスピード成長ぶりが業界でも話題です。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年11月期の最終損益は1億9900万円の赤字となりましたが、コロナ禍以前の2019年11月期は4億5,500万円の黒字を計上しています。
串カツ田中の急成長を支えているのは低価格帯のメニュー構成ということもありますが、よくいわれているのはファミリー層の取り込みに成功したことです。
これについて、串カツ田中の担当者は以下のように語っています。
「居酒屋が短命で終わるのは、親から子へ(客層を)引き継げないから。うちは、親子で来られるし、子どもが成長しても飲みに来られる。分断がないから強い」
子どもが成長して大人になった際は、串カツ田中のことを「懐かしい店」と思うのかもしれません。
後のことまで考えた抜け目のない経営戦略ですね。
これも十分に画期的な施策ですが、串カツ田中が行なった施策はまだまだあります。
串カツ田中がおこなった施策まとめ
串カツ田中が取り組んだ施策は、串カツ業界はもちろん、飲食業界にとっても斬新なものが多いです。
画期的な施策を次々と打ち出せているのは、串カツ田中の意思決定スピードの早さ、そして現場の対応力の高さがあるからでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大により、串カツ田中も大きなダメージを受けたのは間違いありませんが、逆にチャンスと捉えていたのかもしれません。
それでは、ここからは串カツ田中がおこなった施策について順を追ってお話ししていきます。
全席禁煙化・フロア分煙化
串カツ田中は、将来的に日本を代表する食文化になるまで串カツ人気を高めたいという想いで営業を続けているお店です。
メインターゲットとなるのは20代から40代の大人ではあるものの、子供もターゲットに含まれています。
しかし、子供をターゲットにしているのに、すべての席でタバコが吸えるというのは大きな矛盾のように思えますよね。
そこで串カツ田中は、喫煙率の低下や受動喫煙に関する条例などの社会的背景も契機と捉え、全席禁煙化に踏切りました。
大規模外食チェーンの禁煙化というのは、あまり前例がないことですし、一般的に考えて大衆居酒屋でタバコが吸えないというのは集客力が落ちるイメージがありますよね。
それでも禁煙化・分煙化のスタートを切ったのは、串カツ田中のチャレンジ精神なのでしょう。
気になる導入後の結果ですが、禁煙化をスタートして1カ月後のデータでは、客数が102.2%に増加した一方で、売上は97.1%に減少しています。
特に目立つのは会社員・男性グループが6%減少したものの、家族での来店が6%増えたこと。
やはり小さな子どもがいる家庭にとって、全席禁煙の飲食店は魅力的に映るのでしょう。
1カ月間という短いデータですから誤差の範囲とも言えそうですが、お客様の声を見る限り高評価のようです。
しかも、店内の禁煙化はお客様だけでなく従業員にも良い効果をもたらしています。
灰皿の交換や洗浄作業が減るぶんだけ従業員の労働の負担が減ったり、タバコを吸わない従業員の受動喫煙がなくなったりするなど、思い切った施策がすべて良い方向に進んでいるようです。
※なお、2021年6月11日時点でフロア分煙化している店舗はありません。
2度づけ禁止だけど禁止じゃない(?)
串カツ田中に限らず、串カツ屋といえば「2度漬け御免」のソース缶がおなじみで、象徴とも言える存在です。
串カツ屋の店頭には必ず「2度漬けお断り」と書かれた貼り紙があったり、看板に直接書かれていたりしますよね。
そんななか、串カツ田中では2度漬け禁止ではなくなったという情報が世の中に出回りました。
当時、噂を聞きつけて串カツ田中を訪れたお客様が、スタッフに対して「2度づけが解禁になったというのは本当ですか?」と聞いてみたところ、
「ほかのお客様の目に触れないようにお願いします」と言われたとのこと。
どうやら、2度漬け禁止ではなくなったのは本当のようですね…!
しかし、2度づけがOKになると衛生面でものすごく不安に感じるのですが、実際のところどうなのでしょうか。
この疑問について、串カツ田中の広報部では次のように語っています。
「2019年6月から全店でお客様ごとにソースを廃棄しております。あくまで大阪串カツ文化の「2度づけ禁止」はお守りいただくようお願いしておりますが、グループ内のお客様同士が良いのであれば2度づけしていただいても問題ありません。」とのこと。
つまり、古くからの慣習である2度づけ禁止は廃止されたわけではなく、ルール緩和ということですね。
お客様が入れ替わる度にソースを新しいものにしてくれているのなら衛生面も心配ありません。
ソースをつける→かけるへ
串カツはソースにつけて食べるものという慣習は、初めて食べる人にとってはとても新鮮である一方で、慣れ親しんでいる人にとっては、ソースをつけて食べるのが文化になるかと思います。
ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、串カツの醍醐味とも言えるソースをつけて食べるスタイルも変更を余儀なくされました。
串カツ田中の場合は、従来のソース缶からソースディスペンサーへ変更しています。
「つける→かける」という提供方法になったため、以前のようにソースをつけて食べることができなくなったのです。
醍醐味が失われたことにがっかりした人も多いかもしれませんが、その一方で串カツ田中には大きな利益となりました。
串カツ田中の広報が話す通り、串カツ田中ではお客様が入れ替わるたびに新しいソースに交換するスタイルで、前のお客様が使用したソースは廃棄します。
ちなみに、処分されるソースの量は年間で37万リットルということですが、どれくらいの量か想像がつくでしょうか?
25メートルのプールに約90センチの高さまで水を入れると約37万リットルになるそうですので…ソースのプールで泳げてしまいます。(笑)
また、一般的な広さのバスタブ200リットルで換算すると1850杯分ですから、とんでもない量であることがわかるでしょう。
37万リットルという莫大な廃棄ロスの削減効果は金額にすると数千万円単位にも及ぶということですから、この変更は大きな意味があったでしょう。
とはいうものの、串カツ田中では昔ながらの食べ方で楽しみたい人向けに、ソース缶の提供も行なっているようです。
こういったところも抜け目がないです…!
冷凍串カツの卸し
ソースの廃棄量削減により実質的な利益確保となった串カツ田中ですが、ほかの飲食店と同様にコロナ禍が大きなダメージとなったのは間違いありません。
やはり、来店客数の減少による売上減少は飲食店にとって死活問題です。
そこで、串カツ田中が新たに取り組んだのが「冷凍串カツの卸し」でした。
2020年4月から取り組んだネット通販により、2021年1月までに20万本の冷凍串カツを売り上げています。
今後は、コロナ禍の先行きが見通せないなかで、冷凍食品事業に本腰を入れたいと考えているようです。
また、冷凍串カツの製造は協力工場に委託していますが、自社でまかなえるような体制をつくっていきたいとも話しています。
たしかに、工場を自社で用意できれば、ネット通販以外にテイクアウト用の店頭販売もできますよね。
何か問題が起きても、すぐに解決策を打ち出して行動に移すというフットワークの軽さも串カツ田中の強みといえるでしょう。
非アルコールの新ブランド立ち上げ
新型コロナウイルスの感染拡大が飲食店に大きなダメージを与えたのはご存知の通りです。
特に、お酒を提供する飲食店にとっては、酒類の提供が禁止されたこともあって八方塞がりの状態になってしまったお店もあるかもしれません。
もちろん、串カツ田中も大きなダメージを受けることになったのですが、実は2020年2月に「鳥と卵の専門店 鳥玉」というブランドを沖縄の飲食企業から譲り受け、非アルコールの新ブランドを立ち上げています。
鳥玉は、チキン南蛮や親子丼をはじめ、パンケーキやプリンなど、新鮮な鳥や卵だけを使用した食事やカフェメニューのお店です。
2021年6月11日時点の店舗数は沖縄に5店舗、神奈川、千葉、宮城に1店舗ずつとなっていますが、今後はショッピングモールへの出店を中心に展開するとしています。
経営母体となる串カツ田中がコロナ禍の影響で苦しんでいるなかにあって、お酒を提供しない新ブランドは救世主的存在になれるかもしれません。
海外でのFC展開
串カツ田中では、FC展開による鳥玉の海外進出も検討しています。
串カツではだめなのかと思う人もいるかもしれませんが、串カツ文化は日本だけのもので、海外にはありません。
また、豚肉は宗教上の理由で食べられない国もあるので店舗展開が限定的になりそうです。
実際、日本国内では店舗数を伸ばしている串カツ田中ですが海外進出はハワイの1店舗だけです。
一方、鳥玉のように鶏肉を扱う店舗なら、世界中で一般的に食べられている食材ですし宗教上の問題も少ないでしょう。
鳥玉ではタイ料理をベースにしたメニューもあるので、東南アジアなどでは受け入れられそうな感じもあります。
飲食店にとっては最大のピンチとなった新型コロナウイルスの感染拡大ですが、串カツ田中ではこのような状況にあってもさまざまな打開策を練り、実行しています。
どのような結果になるのかは少し未来の話になりそうですが、社会の変化に柔軟に対応する行動力は多くの飲食店が見習うべきポイントといえそうですね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は串カツ田中にフォーカスを置いてお話ししていきましたが、こうして書いていくと新しいことをすると何かと叩かれるものですが、新しい常識をつくることはそういうものなんだろうなと思えました。
そしてだからこそ、串カツ田中の常に新しいことに挑戦している姿勢は素晴らしいですし、「不変は衰退」の考えで変化し続けられる強さがあったからこそ、競走の激しい飲食業界で走り続けられるのかと思います。
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著者プロフィール
小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。
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