半世紀続く地域密着型チェーン!うどんは頼まない!?-埼玉県民のソウルフード、山田うどんについて調べてみた-
みなさまは、「うどん」を食べに行くとなると、どこをイメージされるでしょうか?
丸亀製麺?はなまるうどん…?
それか、うどん本陣 山田家…!?(わかる人にはわかる)
もちろん、上記のお店も美味しいですよね!
しかしながら、多くの埼玉県民の方でしたら「だうどん」の選択肢があるはずです。
…
……
………ちょっと待って、「だうどん」ってなに?って思いますよね。(笑)
ちなみに、「だうどん」とは、「山田うどん」を意味します。
…
……
………「山田うどん」ってなに?って思う方もいますよね。(笑)
「山田うどん」は埼玉県民のソウルフードといっても過言ではありません。
埼玉県民はもちろん、関東の郊外エリアの人にとってはお馴染みの飲食店なのです。
渋い色合いの外観やかかしのロゴマークを見ると、ノスタルジーが刺激される人もいるでしょう。
一方、山田うどんに「昭和っぽい」「地味」など、時代に取り残されたイメージを持つ人もいます。
ですが、昭和っぽく地味であることは、山田うどんが讃岐うどんブームなどに負けないための、あえての戦略なのはご存知ない方も多いはずです。
そこで今回は、ファンの心をガッチリ掴んで離さない山田うどんの魅力について熱く語っていきます!
また、飲食店経営で参考にできる「あえて変わらない」戦略の有効性について説明するので、ぜひ参考にして頂けたらと思います。
山田うどんとは?
山田うどんとは、埼玉県所沢市の山田食品産業が経営するチェーン業態の飲食店です。
山田食品産業は1935年、同市に手打ちうどん専門店として創業し、製粉工場の経営などを経て、1965年にうどん専門食堂「山田うどん」を開店しました。
関東圏の人にとっては、茶色と黄色を基調にした外観と赤いかかしの看板でお馴染みですよね。
近年では、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のメンバーが、ライブ前のエネルギーチャージとして山田うどんのメニューを食べていることでも話題になりました。
山田うどんは埼玉県を中心に関東7県で展開しており、特に郊外のロードサイドに多く出店しています。
メニューはうどんを始めカレーや定食などバリエーション豊富です。
たぬきうどん280円、天ぷらうどん470円、カレー480円など、驚きのコスパも特徴です。(2021年6月現在)
また、ボリュームあるメニューが多いうえ、プラス100円で大盛りにもできます。「安い・うまい・多い」を求める人には魅力的ですよね!
このメニュー構成は、山田うどんが狙うターゲット層と関係しています。
ロードサイドに展開する山田うどんの特徴は、広く、大型車でも停めやすい駐車場があること。
つまり、山田うどんはトラック運転手やタクシー運転手など「働く男たち」をメインターゲットにしているのです。
そのなかで山田うどんは「山田」「だうどん」「やまう」などの愛称で親しまれ、根強いファンがついています。
それは、ほかの店では味わえない、山田うどんならではの魅力に惹かれているからなのです。
山田うどんの魅力
ここでは、山田うどんの魅力を複数の視点から紐とき、「山田うどんでしか味わえないもの」が何なのかを解説していきます。
山田うどんのうどんはブームの讃岐うどんとは別モノ
世間では丸亀製麺やはなまるうどんのうどんのように、「讃岐うどん」がトレンド・定番になりつつあります。
しかし、コシが強くエッジの立ったうどんを食べる気持ちで山田うどんに行くと、おそらく裏切られるでしょう。
つまり、山田うどんのうどんはブームの讃岐うどんとは違い、コシとは無縁のうどんなのです。
そして山田うどんのうどんは、「うどん」としてのバリエーションもあまり豊富とはいえません。
釜玉やぶっかけ、種類豊富な天ぷらなどを誇る讃岐うどんに対し、山田うどんのメニューは、たぬきやきつね、肉汁うどん、カレーうどんなどで構成されています。
山田うどんで使われるおつゆは、濃口醤油の香りがぷんとする昔ながらの関東のつゆです。
つゆの茶色にうっすら染まったフワもちのうどんを食べると、筆者は家族旅行のドライブインや、受験勉強の夜食に出してもらったうどんを思い出します。
この感覚がいい意味で「特徴のない」うどんなのです。
しかし、本来うどんは地域性の違いが出る食べ物です。
讃岐に比較的近い伊勢のうどんもコシとは無縁の柔らかさが特徴ですし、北国秋田の稲庭うどんは喉越しを楽しむものです。
うどんには地域それぞれの魅力があります。
また、山田うどんの魅力が「うどん」にあるのかという点も、実は疑問が残ります。
以下では、うどんの存在感を薄めるほどの、山田の魅力について見ていきましょう。
うどん屋なのかと疑うほどのメニュー数
山田うどんのグランドメニューは見開きで3ページあります。(2021年6月時点)
そのうち、うどん・そば類のメニューは1ページしかありません。
その他のページは、ラーメン、チャーハン、カレー、丼もの、定食がところ狭しと掲載されています。
実はいうと、山田うどんでうどん単品を食べる人はそこまで多くありません。
山田うどんで人気なのは、日替わり丼やカレーに1人前のうどんがついた「セット」になります。
ガッツリ2人前のボリュームで、日替わりなので毎日食べても飽きません。
つまり、お店の名前は山田「うどん」なのですが、うどんの気分だけでなく、中華やご飯ものが食べたい気分もカバーするメニューの豊富さも山田うどんの魅力なのです。
サイドメニューも生卵や大根おろし、ミニもつ煮込み、餃子など豊富で、メインメニューのお供として相性がいいように工夫されています。
そして、山田うどんのメニューを語るときに外せないのは、なんといっても「かき揚げ丼」と「パンチ」です。
人気ランキングの上位を常にキープするファンおなじみのメニューです。
かき揚げ丼は、揚げたてのかき揚げがホカホカご飯にのっているタイプではありません。
玉ねぎベースのかき揚げを甘辛いつゆで煮込み、卵とじにした丼です。
素材のプリプリ感や衣のサクサク感は楽しめませんが、無心でご飯をかき込める魔力があります。
次にパンチですが、これは山田うどんオリジナルのもつ煮込みのことです。
甘みとコクを感じられる味噌ベースでほんのりピリッとしており、ご飯にもお酒にも相性抜群の味わいです。
一緒に煮込まれたこんにゃくのプリプリ感やメンマのシャキシャキ感が、食感を豊かにしています。
こういった魅力的で種類豊富なメニューも、ただの「うどん屋」では終わらない独特の店として、ファンの心を掴んでいるポイントです。
健康志向の世の中と逆行した炭水化物オンパレード、とんでもないボリューム感
前述したように、山田うどんのメニューは麺・ご飯もの・定食で構成されています。
まさに、糖質を控える近年の流れと逆行する、炭水化物オンパレードのメニューです。
メニューのそこかしこには「麺は1.5玉」「ガッツリ2人前!」「メインだけじゃ足りないあなたに!」などのあおり文が踊っています。
利用客のお腹をしっかり満たすことが、山田うどんの譲れないホスピタリティなのです。
そして、山田うどんで人気のメニューはセットメニューだと述べました。
1人前の丼ものに1人前のうどんですから、まさにガッツリ2人前です。
また、全てのご飯ものメニュー、定食メニューには「うどん又はそば」「しょうゆラーメン又はざるラーメン」をセットにできます。(2021年6月時点)
さらに、軽いボリュームであることが望ましい朝定食にも半玉のうどんがついてきます。
この「糖質制限って?」と言わんばかりにうどんを食べさせようとする姿勢も、ファンが山田らしさを感じる要素のひとつなのです。
温かい接客
山田うどんのスタッフは、メインターゲットとしている「働く男性」の母親世代が多い印象です。
いわゆる「お母さんたち」ですね。
お母さんたちの接客は、家族経営の店を思わせる親しみやすさで「マニュアル通りで丁寧」なタイプの接客ではありません。
「ちょっと待っててくださいね」「ごめんなさいねぇ」「はいどうぞ!」などの声を交わしつつ、いっときも止まることなくクルクル働いています。
そして、温かい接客は、利用客の反応にも影響するようです。
無骨な男性客も、お母さんの手が空いてから注文をするべく、大人しく待っています。
メニューなど必要なものを自分で取りにいく人も珍しくありません。
こういった温かい接客によりスタッフと利用客の距離が縮まり、阿吽の呼吸ができている印象です。
これが山田うどん独特の、どこか昭和を思わせる雰囲気作りにつながっているのかと思えます。
飲食店経営で見る山田うどん
山田うどんは讃岐うどんブームなどの新しい動きに左右されず、変わらぬ経営方針でファン数を維持しています。
ここでは、飲食店経営で参考にできる、山田うどんならではの戦略を見ていきましょう。
半世紀続くドミナント戦略
ドミナント戦略とは、簡単にいうと同じ地域に集中して店舗展開をして「地域密着」を狙っていく戦略のことを指します。
山田食品産業は、一時はニューヨークにラーメン店を出店したり、山田うどんの都内1号店を銀座にオープンしたりしたこともありました。
しかし、埼玉県に根ざすドミナント戦略は山田うどん創業当時から変わっていません。
埼玉県の子どもは家族での休日、プールの帰り、学校帰りなどに山田うどんを利用して育ちます。
大人になったときには「自分たちの山田うどん」という意識が育っているのです。
また、山田うどんは1960年代より学校給食にも参入し、うどんの麺を提供しています。
まさに、埼玉県の子どもは山田うどんの麺で育ったようなものですね。
幼少のころから馴染んだ味への親しみは、讃岐うどんブームが来ても薄れることはありません。
さらに、埼玉県は歯ごたえの強い「武蔵野うどん」が発展してきたエリアです。
武蔵野うどんは、ざるにあげたうどんを具入りの汁につけて食べる特徴があります。
コシとは無縁なフワもち食感の山田うどんですが、メニューにつけ汁タイプの「肉汁うどん」を加え、埼玉県生まれのDNAをアピールしています。
こういった演出も、埼玉県民の心をガッチリ掴んで離さないポイントなのです。
あえてトレンドに乗っからない、「変わらない」という強み
ここまでの解説で、山田うどんが「最新」や「洗練」とはちょっと違う飲食店ということがわかったかと思います。
しかし、トレンドに左右されず「変わらない」ことは、山田うどんのあえての戦略でもあるのです。
山田うどんは、ファンが求めているものを理解しています。
ファンにとって山田うどんは「変わらない場所」「気兼ねなくメシをかき込める場所」なのです。
そのため、新メニューは常に出しつつも、あえて洗練を避け時代に迎合しすぎません。
山田うどんのメニューや接客が洗練されてしまったら、讃岐うどんのようなブームに迎合してしまったら、ファンはどこで「変わらない時間」や「気兼ねのない時間」を過ごせばいいのでしょうか。
讃岐うどんの価値観で山田うどんをジャッジする人に、山田の魅力はわからないといえます。
山田うどんはファンにとって、美味いものを食べる場所というより、帰る場所なのです。
家の周りにおいしいレストランができたとしても、家に帰らなくなる人はいませんよね。
山田うどんはあえて変わらずにいることで、ファンの「帰る場所」としての位置を確立し、ブームに左右されない存在感を盤石のものとしているのです。
チェーン店なのに接客マニュアルを作っていない
山田うどんはチェーンの飲食店にも関わらず、簡易的な接客マニュアルしか作っていません。
つまり、接客においての細かい部分はスタッフの判断に任せる方針なのです。
山田うどんで働くスタッフはいわゆる「お母さんたち」が多いため、自然と温かく親しみやすい接客になります。
そのため、あえて接客マニュアルを作らないことが店の温かみにつながり、利用客の「山田に帰ってきた」という安心感につながっているのです。
また、先輩スタッフの接客スタイルが新人にも受け継がれていくため、接客に店舗ごとのカラーができていきます。
これによりそれぞれのファンに「推し店」や「推しスタッフ」ができ、リピーターの獲得にも役立っているのです。
屋号を「山田うどん」から「山田うどん食堂」に
山田うどんは、2018年から店名を「ファミリー食堂 山田うどん食堂」に変更しました。
これは、従来のターゲット層をさらに広げ、ファミリーや女性にもアピールするためです。
また、立地によって「働く男性」層がある程度の洗練を求めるようになったためでもあります。
もともと、山田うどんはうどん以外のメニューに注目が集まる傾向があるため「食堂」としたほうがより正しいかもしれません。
メニューではかき揚げ丼やパンチ丼など、人気商品を含めたハーフサイズ、ミニサイズのバリエーションも増えています。
「ガッツリ2人前」を食べられない人でも、無理なく山田うどんを楽しめるメニュー展開に変わってきているのです。
あくまで「山田らしさ」を残しつつさりげなく時代に迎合することで、ファン離れを防ぎつつ新たな層を取り込むのは、山田うどんならではの慎重な戦略といえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、埼玉県での有名ローカルチェーン店である山田うどんについてお話ししていきました。
長年愛されるのには料理・メニューの良さがあるのもそうですが、お客様に愛される経営戦略があるからこそかと思えますね。
一般的には「不変」とは経営をしていく上であまりいいこととはいえませんが、山田うどんの不変とは長年のファンのためを思っての不変なのです。
また、良さはそのままに新しい層を取り込むための戦略もおこなっているので、一概に全てが「変わっていない」わけでもないところが素晴らしい考えかと思います。
県外の方も埼玉でカカシの看板のお店を見かけたら、ぜひ行ってみてください!
「日本の食産業にロマンを!」というビジョンを掲げているフーズラボ・エージェントではこういった情報を提供させていただくことによって、少しでも全国の飲食店・飲食企業の力になれればと思っております。
そして、そこでフーズラボ・エージェントでは求職者さまのために活躍できる職場を、求人情報を提供して、より一層の就職・転職活動のサポートをしていきたいと思っております。
フーズラボ・エージェントは飲食業界特化ということもあり、飲食業界に精通したキャリアアドバイザーが希望をお伺いしたうえで、希望の職種や企業の紹介ができることはもちろん、自分で探していなかったらまず考えていなかったようなお仕事内容でも、これまでの経験を評価し必要としてくれる企業、飲食店の求人を揃えています。
もちろん、求人の企業様・飲食店様につきましては現状をキャリアアドバイザーがしっかり把握した上でご紹介いたします。
相談窓口事務所は東京と大阪になりますが、WEB面談も実施しており、飲食専門の転職・就職のプロが対応いたしますのでご安心くださいませ。
あわせてフーズラボ・エージェントのサービスは、国の許認可をいただいていますので転職・就職のご相談に関しても、面接から入社までに至るサポートに関しても、完全無料です。
もうお店が潰れそうで次のところ探さなきゃ…
今働いているところだと今後が不安だけど、転職活動はどうしたらいいかわからない…
都市部から離れたところで働きたいけど、引っ越しのお金がなくて困っている…
などなど、どんなお悩みもご相談ください!
\ ご相談ください!求人をご紹介します!/
就活・転職相談お問い合わせ先
0120-313-704
著者プロフィール
小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。
こんなお仕事を紹介しています
サイトに掲載されない特別な求人を
キャリアアドバイザーが紹介いたします。
特別な求人って?
- 申し込みが殺到しやすい優良企業
- 急募のためサイトに情報公開する時間がない企業
- 新店舗などの募集情報を他者に知られたくない企業
ご登録から入社までの流れは?
-
1
ご登録
一人で悩むより、まずはご相談がおすすめ。ご登録後、担当のキャリアアドバイザーからご連絡を差し上げます。
-
2
お仕事の紹介
キャリアアドバイザーが専任で担当し、あなたの希望にマッチした求人をご紹介します。
-
3
面接
ご紹介の企業と面接します。給与面の条件交渉や、日程調整、履歴書の添削、面接対策、面接同行までしっかりサポート!
-
4
内定
内定の交渉や日程調節、入社日の調整や手続きなど、ご入社までサポートさせていただきます。