経験すると食べたくない…?原因は?-なぜ牡蠣はあたるのか調べてみた-
クリーミーで旨みのギュッと詰まった牡蠣は、思わず何個も食べてしまうおいしさですよね。
特に、まろやかな味わいとツルンとした喉越しの生牡蠣はたまりません。
ですが、牡蠣には「あたる」という怖い面もありますよね…。
牡蠣にあたると激しい吐き気や腹痛などが起き、その辛さは経験者をして「地獄の苦しみ」といわしめるほどです。
また、一度牡蠣にあたると、そのあと繰り返しあたってしまう人もいます。
なぜ牡蠣はあたるのでしょうか。
飲食店の関係者としては、自分の店から牡蠣の食中毒が出るのも怖いですよね。
この記事では、私たちにとって身近な牡蠣である真牡蠣や岩牡蠣の特徴、牡蠣にあたる主な原因、飲食店が行える食中毒予防などについて解説します。
牡蠣について
牡蠣は「海のミルク」ともいわれる乳白色の身が特徴の二枚貝です。
海のミルクといわれるのは、ミルクのように栄養豊富なことも理由となっています。
牡蠣の栄養価はとても高く、体の機能のバランスをとってくれるタウリン、肌や髪の健康維持に役立つ亜鉛、旨み成分のグリコーゲンがたっぷり!
しかも、牡蠣は種類によって雌雄同体のものや、雌雄が入れ替わるものがいるなど、生態もとても不思議に満ちているんです。
牡蠣の子どもは生まれると泳いで岩につき、一度岩につくとそこから一生動きません。
そのため筋肉が退化しており、身のほとんどは内蔵です。
牡蠣のプリプリとした柔らかい食感と栄養価の高さは、筋肉よりも内臓の比率が高いからなんですね。
日本にはおよそ25種類の牡蠣が棲息しているといわれます。
そのうち私たちにとって身近な牡蠣は「真牡蠣」と「岩牡蠣」の二つです。
真牡蠣と岩牡蠣
ヨーロッパでは「Rのつかない月に牡蠣は食べるな」といわれます。
これは、5月から8月は真牡蠣の味が落ちることが理由です。
ですが、日本に住んでいる私たちは夏もおいしい牡蠣を食べられますよね。
真牡蠣の味が落ちる夏には、岩牡蠣が旬を迎えるからです。
一年を通して牡蠣を楽しめるのは、真牡蠣と岩牡蠣にそれぞれ違う特徴があるからなんです。
ここでは、真牡蠣と岩牡蠣の味わいや旬の違いを紹介します。
真牡蠣
真牡蠣は冬に旬を迎える牡蠣で、小ぶりなサイズが特徴です。
小ぶりですが、旨みやクリーミーさが身にぎゅっと濃縮されていて、食べると幸せを感じますよね。
真牡蠣の産卵期は初夏から夏。
真牡蠣は産卵期になると一気に大量の卵を産卵し、栄養分や旨み成分を使い果たしてしまいます。
そのため、「Rのつかない月(初夏から夏)」にあたる産卵後は味が落ちてしまうんです。
真牡蠣の水揚げ期間は、産卵前に栄養を蓄える10〜4月です。
国内で出回る真牡蠣のほとんどは養殖されたものになります。
岩牡蠣
岩牡蠣は夏に旬を迎える牡蠣で、身や殻が大きく、殻がまるで岩のようにゴツゴツしていることが特徴です。
ボリューミーで食べ応え抜群の岩牡蠣は、甘くてクリーミーですが少しさっぱりした味わいを感じます。
牡蠣のジューシーさを心ゆくまで楽しめるので、生牡蠣向きの牡蠣といえますね。
岩牡蠣の産卵期も真牡蠣と同様夏ですが、真牡蠣と違ってゆっくり何度も産卵する特徴があります。
旨み成分や栄養分の消費もゆっくりなので味が落ちにくく、夏でもおいしく食べられるんです。
岩牡蠣の水揚げ期は6〜9月となっています。
また、真牡蠣はほとんどが養殖ものなのに対し、岩牡蠣には養殖ものと天然ものがあることも特徴です。
牡蠣はなぜあたるのか?
さぁ、それでは本題に入っていきます。
牡蠣にあたると、激しい吐き気や腹痛などに悩まされます。
「地獄の苦しみ」に例える人もいるほど辛いので、できれば牡蠣にはあたりたくないですよね…。
もちろん、飲食店から牡蠣の食中毒を出すのも避けたいものです。
牡蠣にあたる主な原因には、ノロウイルスや腸炎ビブリオ、貝毒が挙げられます。
ここでは、それぞれの中毒の原因や特徴について解説しましょう。
ノロウイルスが原因
牡蠣にあたる原因で一番多いといわれるのが、ノロウイルスです。
牡蠣は一度岩につくと一生動かないことを説明しました。
牡蠣は岩についたまま体に海水を大量に取り入れ、その中にあるプランクトンを食べて生きています。
このとき、海水に含まれる細菌やウイルスも取り込み、排出できず体にためてしまうことがあります。
それを人が食べると食中毒を起こし、「あたって」しまうのです。
ノロウイルスは充分加熱すれば死滅するので、あたるのは生牡蠣を食べたときが多いでしょう。
厚生労働省の見解では、ノロウイルス死滅には牡蠣の中心部が85~90℃の状態で、90秒以上の加熱が必要です。
そのため、焼き牡蠣や牡蠣フライなど加熱したメニューでも、加熱が不十分な場合はあたることがあります。
また、ノロウイルスは人間の腸内で繁殖するウイルスなので、口から入った量が少量でもあたることはあります。
つまり、「食べる量を減らせば大丈夫」ということではないのです…!
腸炎ビブリオが原因
腸炎ビブリオとは、海水の温度が高い時期に活発に活動する細菌です。
海水に腸炎ビブリオが増える暖かい時期の牡蠣にこの細菌が付着すると、食中毒が起きることがあります。
しかし、腸炎ビブリオが原因の食中毒はノロウイルスほど多くありません。
食品衛生法の改正により、生牡蠣などの食品の衛生管理が厳しくなったからです。
しかし、まな板などの消毒が不十分だと、調理中に調理器具から牡蠣に菌がついてしまうこともあります。
そのため、腸炎ビブリオが活発に活動しない寒い時期でも、調理方法がずさんだと牡蠣の食中毒が起きてしまうのです。
腸炎ビブリオの食中毒を防ぐには牡蠣を4℃以下で保存する、水道水でよく洗う、中心部まで61℃で10分以上加熱する、などの方法があります。
貝毒が原因
貝毒とは、毒を持ったプランクトンを牡蠣が食べたため、牡蠣の体内にたまってしまった毒素のことです。
貝毒は加熱に強く、しっかり火を通してもあたることがあります。
しかし、貝毒による食中毒を防ぐため、都道府県や貝類の生産者により定期的に貝毒の検査が行われています。
基準を超えた貝毒が検出されたときには、その地域からの出荷が規制されるので、貝毒が原因で牡蠣にあたることは滅多にないでしょう。
アレルギーや免疫力の問題
「牡蠣にあたってから、そのあと何度食べてもあたるようになった」という話を聞いたことがないでしょうか。
牡蠣を食べると繰り返しあたるなら、ウイルスや細菌ではなくアレルギーが原因かもしれません。
心あたりがある人は、血液検査をすると調べられます。
また、腸炎ビブリオやノロウイルスが口から入っても、免疫力が高い・体調がいい人は食中毒の症状が出ず、慢性的に免疫力が低い・体調が悪い人は繰り返し症状が出ることがあります。
免疫力の低下が原因であたってしまう場合は、生牡蠣を食べるときの体調を万全にするよう気をつけると、あたる確率を下げられるかもしれません。
生食用と加熱用の牡蠣について
牡蠣には生食用と加熱用がありますよね。
これは、生食用が新鮮で加熱用の鮮度が劣るから分けているのではありません。
生食用と加熱用の牡蠣の違いは、育てられた海域や浄化処理の違いです。
生食用の牡蠣は、水質調査により腸炎ビブリオなどの細菌が少ないと判断された海域で育てられています。
また、牡蠣を紫外線で殺菌した海水で浄化するなど、規定の浄化処理を行えば「生牡蠣」として出荷ができる海域もあります。
加熱用牡蠣はこれら以外の海域で育てられており、生で食べることを想定した浄化処理もされていません。
そのため決して生のまま食べず、しっかり加熱するのが重要です。
ただし、加熱用牡蠣は水質基準を定められていないため、栄養豊富な海域を選んで養殖できます。
そのため、生牡蠣より加熱用牡蠣の方が濃厚でおいしいと感じる人も多いようです。
クリーミーな生牡蠣か、より濃厚な加熱用牡蠣か…。牡蠣好きとしては迷ってしまいますね!
飲食店での牡蠣について
では、飲食店はどのように牡蠣の食中毒を防げばいいのでしょうか。
現時点で、牡蠣のノロウイルスをゼロにする浄化技術はありません。
また、ノロウイルスは牡蠣の内臓に存在しているため、表面をよく洗っても除くことができません。
そして、牡蠣を食べる利用客の体調の問題もあります。
飲食店が努力しても、牡蠣にあたる確率はゼロではないのです。
ノロウイルスなどの食中毒を飲食店から出さないためには、牡蠣の海域や処理状況、輸送環境をよく調べ、信頼できる業者から仕入れることが重要です。
また、店内での調理方法にも気をつける必要があります。
ノロウイルスや腸炎ビブリオは、食材を調理・加工した包丁やまな板、手に付着して、ほかの食材に移ることもあるからです。
牡蠣などの魚介類を調理・加工したときは調理器具や手を充分消毒しましょう。
できれば牡蠣の調理には専用の包丁やまな板を使うのがおすすめです。
ノロウイルスはアルコールに対する耐性が強いので、調理器具にアルコールをスプレーしてもあまり効果を期待できません。
ノロウイルスの死滅には、市販の塩素系漂白剤などに含まれる次亜塩素酸ナトリウムが有効です。
ただし、次亜塩素酸ナトリウムを肌につけると荒れるので、手はしっかり洗うことで消毒しましょう。
可能であれば、まな板やふきんなどの調理道具を熱湯(85℃以上)で1分以上消毒するのもおすすめです。
陸育ちの牡蠣であたるのを防ぐ?
牡蠣にあたる原因の一つは、ウイルスや細菌の含まれる海水と説明しました。
では、汚染された海水を使わなければ、牡蠣にあたる確率はきわめて低くなりますよね。
このアイディアのもと、新しい方法で牡蠣を養殖しているのが、オイスターバーを全国展開する企業「ゼネラル・オイスター」です。
ゼネラル・オイスターでは、水深約600mから海洋深層水をくみ上げ、陸上の施設で牡蠣を養殖しています。
海洋深層水には、ノロウイルスや腸炎ビブリオなどの細菌がほとんどいません。
また、牡蠣の餌であるプランクトンを効率よく培養できる栄養もたっぷり含まれています。
海洋深層水で牡蠣を養殖すると、牡蠣を汚染から守りつつ、餌のプランクトンも大量に培養できるんです。まさに一石二鳥ですね。
生で食べてもあたらない、安心安全の生牡蠣を味わえる日も近いかもしれませんよ!
まとめ
いかがでしたか?
牡蠣は栄養価も高く、美味しい食べ物なのは間違いないですが、食べる側も提供する側にとっても最善の注意が必要なのがわかったかと思います。
今回は牡蠣に関してのお話ではありましたが、飲食店にとって食中毒はあってはならないものです。
ですのでこの機会に、今一度衛生面を改めてチェックしてみるのもいいかもしれません!
また、最後のゼネラル・オイスターの「あたらない牡蠣」ですが、今後もこうした消費者のために考えられる考えや研究が増えてくると、飲食業界も一段と盛り上がるかと思えました。
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著者プロフィール
小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。
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