いらない?カットできる店もある?-飲食店のお通しについて調べてみた-
居酒屋などに行くと、注文しなくても小さな料理が出てきますよね。
あの料理は「お通し」や「突き出し」などと呼ばれています。
お通しは出てくると嬉しい人もいれば、出てくるのを嫌がる人もいます。
お通しを出したい飲食店側と、お通しを嫌がる利用客側で意見が衝突する「お通し問題」も話題になりましたよね。
この記事では、お通しについて知りたい人や、お通しを受け入れてほしい飲食店関係者のため、お通しの基礎知識やよくある疑問に答えます。
飲食店の立場から、お通しを利用客に受け入れてもらう方法や、お通しを出すメリットも紹介するので参考にしてください。
喜ばれる人気のお通しメニューもぜひ活用してくださいね。
お通しとは?
お通しとは、居酒屋などで注文を介さず、最初に出てくる料理のことです。
ほとんどの場合は小鉢料理や珍味など、軽くつまめるメニューが出てきますよね。
お通しを出す慣習は、昭和初期に始まったものといわれています。
ちなみに、「お通し」という呼び方は関東のものです。
関西ではこの料理を「突き出し」といいます。
関東でお通しと呼ぶのは「注文が通った」ことを表す料理だからといわれます。
飲みものや料理を注文するとすぐに出されるお通しは、注文がきちんと厨房に伝わったことの証です。
注文が通った証があれば利用客は安心できます。
スタッフも、テーブルを見れば注文を忘れずに取っていることを確認できますね。
一方、関西での突き出しという呼び方は、利用客が注文したかにかかわらず「突き出す」料理だから、が由来のようです。
お通しには、席料・サービス料のおまけという意味もあるとされます。
利用客から席料だけをいただくのは申し訳ないので、おまけとして小さな料理をつけたのです。
お通しは、日本人の謙遜やホスピタリティのあらわれでもあるんですね。
しかし、最近ではお通し代のほかに席料・サービス料を徴収する飲食店もあります。
お通しが「席料のおまけ」という風潮は薄れつつあるようです。
お通しは日本独自の慣習で、基本的に海外諸国にはありません。
そのため、外国人の利用客には無料のサービスだと受け取られることも多く、会計の際にトラブルになるケースも報告されています。
飲食店で出てくるお通しってカット・断れるの?
結論からいうと、お通しを断れるかどうかは飲食店によります。
お通しが席料の代わりの場合は断るのが難しく、席料とは別の場合は断れるケースがあるようです。
また、店によってソフトドリンクにはお通しがつかない場合と、ソフトドリンクにもつく場合があります。
後者の場合も「席料の代わり」として、お通しカットはできないケースが多いようです。
大手居酒屋チェーンでも断れるところ、断れないところ、アレルギーなどで食べられない場合は断れるところなど、対応はさまざまです。
また、法律的な見解については、専門家の間でも意見がわかれています。
「入店時にお通し代がかかる説明がないのであれば断れる」
「お通しが出た時点で断れるが、食べた場合は支払いの義務がある」
「席料がかかることを予測できる場合は断れない」
など、さまざまな見解があるようです。
では、お通しを断りたい場合はどうすればいいのでしょうか?
その場合は、あらかじめ断れる店かどうか確認して入店するのがスムーズでしょう。
お通しが運ばれてきてからでは断るのが難しくなるので、予約時か入店時に確認しておきましょう。
ただし、席料が設定してあり、そのおまけとしてお通しがある場合は、お通しを断っても席料自体はかかるので注意してください。
飲食店の立場から見るお通しについて
お通しは飲食店にとって、利益を上げる大事な方法のひとつつです。
しかし、最近ではお通しが歓迎されない、断られるなどの傾向があり、それによりトラブルが起きることもあります。
このような傾向・トラブルはお通し問題と呼ばれ、しばしば論争となっています。
お通しが売り上げに重要でも、利用客が納得いかないままお金を払うのは、飲食店としても望まないところですよね。
利用客の層にお通しを嫌がる人が多いなら、お通しシステムをやめて通常メニューで利益を出すよう工夫するのもひとつの方法です。
お通しシステムを続けるなら、利用客に気持ちよく受け入れてもらう提供方法を考えましょう。
また、お通しが飲食店にもたらすメリットを理解してメニューを組むのがおすすめです。
以下では、お通しを受け入れてもらう方法、お通しの飲食店へのメリットを紹介します。
利用客にお通しを受け入れてもらう方法は?
利用客がお通しに抱く不満の多くは、お通しが出る説明がない、値段がわからないというものです。
お通しを出すなら、口頭や卓上パネルなどでお通しの有無と値段について明示すると、トラブルを避けられるでしょう。
英語など、訪れる外国人に合わせた言語の説明も追加するとより安心です。
外国人利用客とのお通し問題がひんぱんに起きるなら、お通しの意味や歴史をわかりやすく解説したリーフレットを置き、読んでもらう方法もあります。
また、お通しを選べないこと、頼んでいないメニューが来ることも不満のひとつです。
その日のお通しをまとめた簡単なメニューを作り、選べるようにするとこういった不満を解消できます。
もっと利用客の利便性を上げるなら、メニューだけでなく「お通しなし」も選べると、満足度はさらに高くなるでしょう。
ただし、その場合はお通しの売り上げがなくなりますよね。
ですが、メニューを選べるとお通しへの不満をかなり軽減できるため、注文してもらえる確率は上がると予測できます。
また、利用客の満足度が上がるので、注文数やリピーター率のアップが期待でき、長い目でみると大きなメリットがあるでしょう。
お通しを出すと飲食店にもメリットがある
お通し問題などのトラブルが起きると、いっそ提供をやめてしまおうか、と考えるかもしれません。
ですが、お通しシステムは売り上げ以外にも、飲食店に以下のようなメリットがあるんです。
1.得意料理を売り込むチャンスである
おいしいお通しが出ると、その店のメニュー全体への期待感が高まります。
お通しは、煮込み料理に自信があるならモツ煮、魚の鮮度に自信があるなら刺身など、その店のアピールしたいメニューを知ってもらう機会でもあるんです。
その店の実力や得意メニューを知ってもらえれば、注文数のアップにもつながるでしょう。
アイディア力に自信があるなら、インパクトのある盛り付けや変わった食材の組み合わせのお通しを出すのもおすすめ。
SNSで拡散してもらえる確率も上がります。
2.食材のムダを防げる
お通しはサイズが小さいので、食材の端の部分など正規のメニューに使うのは難しい食材を有効活用できます。
事業系ゴミの処分料も節約できて一石二鳥です。
お通しは食品ロス防止になり、エコロジーな面からのメリットもあるんですね。
3.料理の提供に時間がかかるときに役立つ
混雑している時間帯だと、ドリンクはすぐ提供できてもフードは時間がかかることがあります。
利用客を待たせていると顧客満足度が下がりますし、厨房やホールのスタッフもプレッシャーを感じますよね。
こういった場合もお通しがあれば、利用客がフードゼロの状態で待たされずにすみ、「料理が遅い!」というクレームも防止できます。
出されると嬉しい人気のお通し5選
お通し問題が話題になりますが、お通しを楽しみにしている利用客もいます。
ここでは、利用客が喜ぶ人気のお通しをピックアップしました。
ポテトサラダ
ホクホクぽってりしたポテトサラダは、ビールにもハイボールにも合う、ちょうどいいお通しです。
じゃがいもやハム、マヨネーズが嫌いという人はあまりいないでしょう。
胃に食べものを入れずにアルコールを飲むと悪酔しやすいので、ほどよくお腹にたまるポテトサラダは体にも嬉しいお通しですね。
郷土の味のお通し
その土地の名物などを味わえるお通しも人気があります。
北海道ならカニ、宮城県ならホヤ、福島県ならいか人参、茨城県ならあん肝などが出てくると嬉しいですね!
その土地の人も、なかなか家では作らない郷土の味が食べられるのは嬉しいものです。
県外から来た人なら、旅気分がいっそうアップして幸せな気持ちになるでしょう。
枝豆
枝豆はクセのない淡白な味で、苦手な人が少ないお通しです。
ビールのおつまみにはコレ!という人も多いでしょう。
手でつまんで食べられるので、片手に枝豆、片手にビールのスタイルでどんどん食べられ、お酒もグイグイすすみます。
だだちゃ豆の枝豆や黒豆の枝豆など、豆の品種にこだわりがあるといっそう嬉しいですね。
魚のアラ煮やモツ煮
煮込み料理のお通しは、お酒を飲む前のお腹を優しく温めてくれ、家庭的な雰囲気で心も温めてくれるメニューです。
寒い時期は特に嬉しいお通しですね。
煮込み料理は手間がかかっているので、お通しとして出てくると正規のメニューを頼んだようなおトク感があります。
魚のアラ煮などは処分する部位を有効活用でき、飲食店にもメリットがあるメニューですね。
たこわさ
さっぱりピリッとしたタコわさは、ビールやハイボールなどの炭酸で流し込んでも、焼酎や日本酒でゆっくりつまんでもおいしいお通しです。
一杯目はビールを飲みたい一次会の利用客にも、じっくり日本酒や焼酎を傾けたい二次会の利用客にも対応できます。
おいしいだけでなくオールマイティーな面も愛されているんですね。
おまけ:ラーメン店のカットチャーシュー
これは筆者の意見ですが、ラーメン店や中華料理店でビールを注文すると出るカットチャーシューはとても嬉しいお通しです。
心の中でガッツポーズが出てしまいます。
ビールにベストマッチする味はもちろん、チャーシューのゴロゴロ感やボリュームが、「トクした!」と思わせてくれますよね。
ビール代とセットになっているのか、お通し代を取らないラーメン店もあります。
ラーメン店側も、ラーメンにのせるのは難しいチャーシューの端を有効利用でき、メリットがあるでしょう。
お通しを受け入れてもらうポイントは、「トクした!」という気持ちを刺激することなのかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
日本の飲食店では一般的とはいうものの、賛否両論ともいえる「お通し」システム。
飲食店にとってはお通し料理を大事にしているところがほとんどのはずです。
それはお客様が料理を注文する前に、最初に口にするものだからです。
お通しの印象が良くないと、次の料理の印象も悪くなってしまいます。
一方でお客様の中にはそのお通しを楽しみにしている方もいれば「いくらかもわからない、食べたくもないのにお金がかかるのに食べたくない」方もいるでしょう。
お客様にとってもお店にとっても双方のメリットはありますので、できればこの文化は無くさないでほしいなと筆者の私は思えます。
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著者プロフィール
小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。
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